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インビザラインで歯茎が下がるの?原因と対応法とは

 みなさんこんにちは。歯科医師の杉田です。
綺麗な歯並びを手に入れて笑顔が素敵な口元を目指されてインビザラインを始められたけど、歯茎が下がってきたような気がするなどというお悩みを抱えていらっしゃる方も一定の割合でいらっしゃるように思います。歯茎下りは「歯肉退縮」と私たちは呼びます。歯肉退縮はさまざまな原因で起こります。もちろんインビザラインという歯列矯正も歯茎下りの一因になってしまうことがあります。そのため事前に口腔内の状態をしっかりと把握しておく必要があります。今回は歯肉退縮の原因とインビザラインとの関わり、その対処法について解説させていただきます。

1、 歯肉退縮って?

1、	歯肉退縮って?

 歯肉退縮は歯茎の後退、歯茎下りとも呼ばれます。歯を覆っている歯茎の面積が徐々に減ってしまう状態のことを指します。歯茎に覆われていた根の部分が露出してしまうことで歯が長くなったように感じたり、しみるなどの知覚過敏症状などの歯の過敏な状態を引き起こしてしまうのが特徴です。以下に歯肉退縮の原因について簡単に説明します。

① 歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは無意識のうちに歯を食いしばっていたり、夜寝ている時に歯をギリギリと接触させてしまう習癖のことです。みなさん想像もできないと思いますが、夜間の無意識の力は考えられないほど強い力が出ていることがわかっています。そのためその力が歯茎に圧力としてかかり、歯肉退縮が起こる可能性があります。

② 不適切な歯磨き
歯磨きの力が強すぎる、歯間ブラシやフロスなどの間違った使い方によって歯茎にダメージを与え、歯肉退縮の原因となることがあります。歯ブラシを頑張りすぎてしまう方、歯ブラシの毛先が硬すぎることも原因の一つです。

③ 歯周病
歯肉退縮は歯周病の一つでもあります。歯周病は細菌による慢性の炎症性疾患と言われ歯茎の炎症や歯を支えている骨が吸収してしまうことで歯肉退縮が起こる可能性があります。

④ 遺伝的な要因
歯肉の厚み、歯を支えている骨の厚みは遺伝的な要因に影響されることも多くあります。歯肉が薄いと退縮しやすくなる傾向にあり注意が必要です。

⑤ 歯科治療
歯の審美修復や、歯科矯正による歯への過度な力が原因となって歯肉が退縮することがあります。

2、 インビザライン矯正で歯肉退縮がどうして起こるの?

2、	インビザライン矯正で歯肉退縮がどうして起こるの?

実際にインビザラインを行った患者さまで歯肉退縮を起こしてしまうケースはあります。インビザラインなどの矯正治療でのデメリットとも言えると思います。どうして歯肉退縮が起こってしまうのか、それを防ぐ方法について解説します。

① 矯正治療で歯肉退縮が起こるメカニズム
矯正治療ではワイヤーやインビザラインなどのマウスピースを用いて歯を特定の方向に移動させ歯列をアーチ状に並べていく治療です。歯を動かす力は歯の周りの骨の吸収と再生を利用して動かしています。歯を動かしたい側の骨が吸収し、動かしたことによってあいた骨のスペースには骨が再生します。この時、稀ではありますが歯や歯茎に極端に強い力がかかることがあります。基本的にはインビザラインもワイヤー矯正も綿密に矯正力がコントロールされ治療計画が立てられていますが、歯や歯列の一部分に過剰な負担がかかってしまうというリスクはゼロではありません。その結果、歯肉退縮を引き起こしてしまう可能性があるのです。

② どういう時に歯肉退縮が起こりやすいか
一番可能性として高いのが顎の骨、つまり歯を支えている歯槽骨と言われる骨が薄い方、歯茎の厚みが薄い方です。移動したいところの骨が薄いと吸収した後の骨が欠損してしまったままになり、歯茎で覆うことができないため歯肉退縮が起こりやすくなってしまいます。特に日本人の方は前歯の歯槽骨が薄い方も多く、前歯部で歯肉退縮が起こりやすくなります。当院では歯槽骨が薄いと想定されるケースなどでは3Dで骨の状態がわかるCT撮影を行いあらかじめ骨の厚みを確認しています。インビザラインでは、綿密な歯の動きのシミュレーションを行いますが、歯の動きを完全に予測できるわけではなく、想定外に歯が動いてしまうケースがあります。あらかじめ歯肉退縮を予測しその傾向があれば治療の方針をしっかりと見直すこともインビザライなどでは必要です。

3、 歯肉退縮を放置しているとどうなるの?

3、	歯肉退縮を放置しているとどうなるの?

 歯肉退縮は徐々に起こっていきます。そのまま放置すると以下のようなリスクがあります。

① 審美的な悪さ
歯肉退縮により、歯茎が下がってしまうことで見た目の悪さが出てしまいます。審美的に綺麗な歯の大きさのバランスがありますが、歯肉退縮によって歯が長く見えてしまい老けたお顔に見えてしまいます。

② 虫歯や歯周病になりやすくなる
歯肉退縮は歯の根が露出してくることで、エナメル質(歯の一番表層)よりもより柔らかい根のセメント質と呼ばれるところが出てきてしまうため虫歯菌によって溶けやすくなります。また、歯と歯の間の隙間も大きくなり、食べ物などが挟まりやすくなることで歯周組織への影響が歯周病を発症する原因にもなります。

③ 知覚過敏のリスクがある
歯の根が露出すると神経に近いセメント質が露出し神経に近い歯質が外からの刺激を受けやすくなり、知覚過敏症状が出やすくなります。(詳しくは知覚過敏のクラムを参考にしてください)

④ 最悪の場合、歯が抜けるリスクも
歯肉退縮が原因で歯周病を発症してしまうと歯を支えている骨も減ってしまい歯が動揺し始めてしまうと歯が抜けるリスクも上がってしまいます。

4、インビザライン中の歯肉退縮はどうしたら予防できるか

4、インビザライン中の歯肉退縮はどうしたら予防できるか

① マウスピースの装着時間を守る
インビザラインの治療は事前に歯科医師が入念なシミュレーションを行い歯の動きを予測して治療を開始します。インビザライン治療成功の鍵は、マウスピースを装着する時間にもあると言えます。装着時間が極端に短かいこと、取り外す機会が多い場合は予測した歯の動きとは異なる動きをしてしまい、歯肉退縮などにつながってしまうことがあります。まずは医師やスタッフから説明を受けた装着時間を適切に守ることが大切です。

② 定期的に歯科医院で進行具合を確認する
インビザラインは治療が開始するときに決まった枚数のマウスピースが全てまとめて送られてきます。しかし当院では全てのマウスピースをまとめてお渡しすることはしておりません。患者さまに交換用のマウスピースを数枚お渡ししていますが、途中経過をしっかり見る必要があります。特にマウスピースと歯が適切にフィットしているか、歯が動くためのスペースは足りているか、などをチェックします。そのため定期的なフォローがないまま進行してしまうと、歯に不適切な力がかかってしまい歯肉退縮のリスクが上がってしまいます。

③ 適切な検診とクリーニング
インビザライン治療を始めるとどうしても1日の大半はマウスピースを装着した状態で過ごされることになるため、日々のセルフケアと定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアが重要になります。歯と歯の間は、歯を移動させるためのスペースが付与されていることも多く、物が詰まりやすいことも治療中はあります。また、歯を動かす原動力となるアタッチメントと呼ばれるポッチが装着されているため適切な清掃器具でケアをしていただく必要があります。歯ブラシを強く当て過ぎてしまっている場合も注意が必要です。日々のセルフケアのチェックと我々の専門的なケアをすることで治療中も安心して過ごしていただけます。

まとめ

 矯正治療ではインビザライン治療だけでなくワイヤー矯正などでも歯を動かすことに伴う歯肉退縮が起こることが稀にあります。どうして歯肉退縮が起こってしまうのか、事前にそのリスクも患者さまの口腔内を検査することやシミュレーションすることでわかります。歯科医師が歯肉退縮のリスクも考慮して治療計画に当たっていますし、その兆候が少しでも認められたら治療計画を見直すこともあります。ただし頻度はとても少ないので過度に恐れる必要はないですよ。歯肉退縮のリスクを減らしてあげることで治療の成功に繋がります。矯正治療に関することはいつでもご相談ください。

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